2016年12月29日

民朗が選ぶ2016年新作映画ベスト20

さて、先日に発表した新作映画ワースト10に続き、今年の新作映画ベスト20を発表します。
今年は昨日更新した小説ベスト10とは真反対に、邦画が沢山ランクインした年となりました。各方面で既に言われていますが、今年は邦画復興の年だったと言えるでしょう。別にガラパゴス化している訳ではなく、非常にレベルが上がってきているのだと実感します。以前では観る前から嫌気がさしていた漫画の映画化も、とりあえず観てみないと判断できない状況になりましたね。

以下「映画名」(監督)です。

2016年新作映画ベスト20

20位.「ルーム」(レニー・エイブラハムソン)

監禁された母子がそこから脱出するサスペンスかと思いきや、脱出して自身の人生を取り戻してからが本番だったという、意表を突く展開にやられました。人が成長していくこと、人生に手遅れはないことを教えてくれる爽やかな作品。


19位.「映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生」(八鍬新之介)

オリジナルの良い部分は残し、リスペクトを捧げつつ、足りない部分は補完するという理想的なリメイク作品。ドラ映画は今まで一応ほぼ全ての作品を追っていますが、これ程に出来の良かったリメイクは『鉄人兵団』以来でしょうか。新ドラは段々劇場版のクオリティが上がっており嬉しい限り。
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18位.「ジェイソン・ボーン」(ポール・グリーングラス)

三部作が公開された当時、がっつりシリーズにハマってた身としてはどうしても甘く評価してしまった結果この順位。ただ、単なる娯楽アクション映画ではなく、どれだけ過去の悪が追放されようとも、新たなる正義に悪が生れるという、厳然たる事実を示している点が堪らなく好きです。


17位.「スポットライト 世紀のスクープ」(トーマス・マッカーシー)

アメリカの宗教の暗部をある新聞のチームが暴いていくまでを描く実話もの。エンディングで延々と流れるあのリストの衝撃は中々越えられません。あれだけの犯罪を組織ぐるみで隠そうとする、この世の邪悪そのものを見た気がしますね。


16位.「ブリッジ・オブ・スパイ」(スティーヴン・スピルバーグ)

流石としか言えない、スピルバーグの職人芸が光るヒューマン・サスペンス。多作のスピルバーグの近年の作品では出色の出来かと思われます。老練な俳優陣が、シリアスなスパイサスペンスに華を添えます。


15位.「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」(マイケル・ムーア)

マイケル・ムーアの最新作は、究極の「隣りの芝は青い」映画。まあ実際に青いんですが、主に欧州の国々をマイケル・ムーアが回っていき、いかに米国が労働・教育・歴史認識・モラルの点で後進国かを説いていきます。まあ日本も笑えない状況なのですがね。


14位.「無伴奏」(矢崎仁司)

今にも崩れてしまいそうな未熟な心の少女を描いた青春映画。彼女があらゆる体験をし、あらゆる愛を知っていく中で大人になってしまうのですよね。話の筋だけ抜き出すと、只の痴情のもつれによるすったもんだなのですが、それでも何故か愛おしく感じた作品。


13位.「アイアムアヒーロー」(佐藤信介)

日本の制作で正統派ゾンビ映画を作るという、公開されるまでは絶対無理だと思っていた偉業を為した作品。原作にあった毒気はやや抜けているは言え、一般観客が許容できる範囲で、これ程に硬派なゾンビ映画を作り上げたのだから、一言「天晴!」です。


12位.「64-ロクヨン- 前編」(瀬々敬久)

後編は目も当てられない代物に成り下がっていましたが、前編は個人的には出色の出来であったと主張したいところです。乾いたタッチで組織内や組織間の軋轢を只管に描いた末に、クライマックスで非常に小さなエモーショナルな展開を用意してくるので、尚更涙腺が刺激されます。


11位.「ヘイトフル・エイト」(クエンティン・タランティーノ)

タランティーノ製のバイオレンス西部劇。タランティーノが密室劇を描いて面白くなかったことは、私の記憶では一度もないですが、本作もその例に漏れず。そしてイカれたB級映画的要素に、深いテーマを織り交ぜている所も、いつものタランティーノです。最高。


10位.「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(ジェイ・ローチ)
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かつてハリウッドで巻き起こったアカ狩りに屈しなかった、“ハリウッド・テン”の一人として知られる伝説的脚本家、ダルトン・トランボの伝記映画。その作品の根底に流れるテーマは、ヴォルテールの思想「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」ということに尽きるでしょう。今の時代にこそ必要な映画。


9位.「PK」(ラージクマール・ヒラニ)

『きっとうまくいく』の監督&主演によるヒューマン・ラブコメディ。コメディ映画として上質な上に、宗教の欺瞞、そして必要性を説いているのは、インドというお国柄を考えれば凄いことです。気軽に(と言っても150分程度はある)観れるインド映画入門作品として最適かと思います。
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8位.「君の名は。」(新海誠)

今年の日本においてダントツのヒットを記録した怪物的作品。自分の大切な誰かと出会えたことに感謝したくなる、万人が共通して感動するであろうメッセージ。間違いなく、今後の邦画アニメーションの未来を映した作品となるでしょう。


7位.「淵に立つ」(深田晃司)
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人生の暗渠を覗き込んでしまったとでも言いましょうか。今年観た映画の中で、最も心が沈みきったと断言できます。ある一家に紛れ込んだ一人の男の呪いが、一家を粉々に破壊してしまう様をじっくりと、万力で締め付けるように描いています。観るには勇気と覚悟が必要。


6位.「シン・ゴジラ」(庵野秀明)

どれだけハリウッドの映画化で一部が盛り上がっていようと、日本国内の映画シーンでは既に過去の遺物と見做されていた「ゴジラ」という怪物を、得意な作家性を持つ人たちで作り変えてしまった今年一番の異色作。日本や世界で日本製のゴジラがまだ通用するというその事実だけで、胸がいっぱいです。
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5位.「この世界の片隅に」(片渕須直)
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時に、ワインと食事のマリアージュの様に、原作者と監督の資質がピタリと重なり、相乗効果で素晴らしい映画が生まれることがありますが、そんな一本。この優しくも、厳しい物語を片渕監督が映画化してくれて本当に良かったと、感謝するしかありません。映画製作の企画段階でのクラウドファンディングに参加できたことが誇らしいです。


4位.「ズートピア」(バイロン・ハワード、リッチ・ムーア)

ディズニーの底力が如何なく発揮された、ウェルメイドという言葉がピッタリなアニメーション。端役まで魅力的なキャラ造形、古典的な物語構成、現代的な作品テーマ、考え抜かれたギャグ等、何から何まで完璧としか言えない恐るべき作品。ディズニー完全復活の狼煙と言えるでしょう。
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3位.「ヒメアノ〜ル」(吉田恵輔)
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作品のテンポと空気感が個人的な尺度において好きとしか言えません。本来混じり合わない水と油、陰と陽の物語を、むりやりに混和させて、終盤までジェットコースターの様に突き進む快感は何度観直しても面白い。


2位.「セトウツミ」(大森立嗣)

とにかく映画を包む独特の空気感が魅力的な作品。二人の男子高校生が、川べりで延々と話しているだけなのに、なぜこれ程に面白く、映画的にも豊かなのか。何度観てもイマイチ良く判らない。昨今数多くの芸人が挑戦した、お笑いと映画の融合を完全に成功させている作品とも言えます。


1位.「サウルの息子」(ネメシュ・ラースロー)

アウシュヴィッツのホロコーストをこれ以上にない程にリアリティを追及して作られた衝撃作。大量虐殺の事実を浮かび上がらせる為に、ドラマを極力排除した本作は、フィクションとドキュメンタリーの狭間に位置する作品と言えるかも知れません。
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なお、惜しくも選外とした作品は以下の通りです。

「怒り」(李相日)
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日本の数々の名優が出演しているにも関わらず、見事に調和した作品に仕上がっている、下半期を代表する感動作。愛する人をどこまで信じて愛することができるのか、という普遍的なテーマであるので、どなたでも心掴まれるかと思います。


「キャロル」(トッド・ヘインズ)

女性同士の愛を描いたゲイ・レズビアン映画。ただ、女性の愛を描いているだけでなく、恋愛におけるパワーバランスの移動が興味深い作品でもあります。


「聲の形」(山田尚子)
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コミュニケーションが苦手な聴覚障がいの少女と、その子を過去にイジめていた少年の贖罪を通して、人と人との繋がりの難しさ、素晴らしさを描く感動的なアニメーション作品。とにかく優しい物語だったというのが強い印象です。


今年の更新はこれでおしまいです。それでは皆さん、良いお年をお迎えください。


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posted by 民朗 at 20:52| ランキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする