2014年12月28日

民朗が選ぶ2014年新作映画ベスト10

さて、過日に発表した小説ベスト10に続き、今年の新作映画ベスト10を発表します。
選んでみると、全て洋画になってしまった、なんてこった……。一応、言い訳がましく弁解しますと、『紙の月』や『舞妓はレディ』、『思い出のマーニー』等、個人的にすごく良いと思った邦画は多かったんですが、ベスト10となると残念ながら漏れてしまいました。また、特に話題になった『そこのみにて光輝く』、『百円の恋』、『滝を見にいく』等のミニシアター系は香川県ではかからないorかかるのが遅い!地方に住んでいる一番のデメリットはそれですな。その度に岡山県や愛媛県まで遠出するのも大変ですし。単なる愚痴でした、すみません。
以下「映画名」(監督)です。

2014年新作映画ベスト10

10位. ベイマックス(ドン・ホール、 クリス・ウィリアムズ)

男の子の燃える欲望をすべて満たしてくれたアクション・アニメ。「ロケットパンチだー!」「足からジェット噴射だ!」「ヒーロー全員が揃ったときはキメポーズ」と見ていて拍手したくなる程の「監督、分かってるな!」感。兎に角、観ている間、ずっと楽しかった映画です。


9位. ゴーン・ガール(デヴィッド・フィンチャー)

久々に帰ってきたミステリー映画監督としてのデヴィッド・フィンチャー。その語り口は実にスマートで、本来長い筈の上映時間を全く感じさせないものでした。大人向けの映画ですが、いつまでも本当の大人になれない、2人の子ども大人の話であったと思います。しっかし友人の結婚式に出席する1週間前に観るべき映画ではなかった。


8位. メアリーと秘密の王国(クリス・ウェッジ)

個人的な本年のダークホース。監督は『アイスエイジ』のクリス・ウェッジ。『ベイマックス』がマクロな視点のアクションの楽しさを味わわせてくれたアニメだとしたら、ミクロなディテールやアクションの素晴らしさを描いてくれたアニメは本作。「Blue Sky Studio」の映画はもっと大々的に公開してほしいんですが、それなりの規模と期間で公開されたのが残念です。やっぱりこの辺り、ディズニーは宣伝の仕方がダントツに上手いですね。


7位. 少女は自転車にのって(ハイファ・アル=マンスール)

今年は、マララ・ユスフザイさんがノーベル平和賞を受賞しましたが、それを象徴するような力をもった一本。話は「少女が自転車を買って乗るだけ」の映画なのに、そこにはイスラム教圏の女性に対する理不尽が描かれている。サウジアラビアでは女性が乗り物(車)を運転する能力が欠如していると考えられており、自転車を乗るなんて常識では考えられない(近年変わりつつはある)。そんな社会の中でペダルを一生懸命漕ぐ少女の姿が美しいのです。まだまだ世界的規模では性差ミニマリズムは進んでいないなぁと実感する映画でした。


6位. インターステラー(クリストファー・ノーラン)

ノーランなりの『2001年宇宙の旅』の進化版。「気取ってる」とか「焼き直し」「パクリ」とか色々言われていますが、私はヒジョーに好きです。なにより『2001年〜』みたいに難解すぎず、ストレートな人間愛・家族愛・人間賛歌に通じている所が好きですし、興行的に日本でも良い成績を残せた理由だと思います。
私の批評はコチラから。


5位. グレート・ビューティー/追憶のローマ(パオロ・ソレンティーノ)

パオロ・ソレンティーノが描く美のイデアを追い求める旅。オマージュ元はフェリーニの傑作『8 1/2』ですが、彼なりに“究極の美”に対して結論を出しているのが面白い。またその映画の主題に合わせて画面がヒジョーに美しい。こんな美しい、美に関する映画を撮ったら、ソレンティーノは次作何を作るというんだろう。
私の短い批評はコチラから。


4位. ダラス・バイヤーズクラブ(ジャン=マルク・ヴァレ)

ホモフォーブのテキサス・カウボーイがエイズに感染してしまい、治療薬の密輸入売買を始めたのを契機に、嫌悪しているゲイたちと交流していくというヒューマンドラマ。ここまでゲイを嫌悪していて観ていて腹が立つ主人公も珍しいですが、その彼の偏見が氷解していく感動は言葉では言い表せません(語彙力が足りない)。言わずもがな、マシュー・マコノヒーの命を削っている様なアクティングも見所。


3位. LIFE!(ベン・スティラー)

今まで、笑うに笑えないブラック・コメディ映画を監督し続けてきたベン・スティラーが突然変異の様に撮った、ありふれた人のありふれた人生に対する讃歌。ストレートに万人勧められる傑作だったと思います。但し、それだけではなく、「安定を捨て、冒険することの大切さ」をも同時に描いている。
私の批評はコチラから。


2位. ウルフ・オブ・ウォールストリート(マーティン・スコセッシ)

レオナルド・ディカプリオが金の亡者の証券マンを演じた、3時間にも及ぶノンストップ・下品コメディ。彼ら証券マンの乱痴気騒ぎを見ているだけでもすごく面白いのですが(エロもあるし)、それに加えて観客に「君は人を搾取する方に憧れるか?搾取される方に憧れるか?」と突きつける点が優れているかなと。
私の批評はコチラから。


1位. 猿の惑星:新世紀(マット・リーヴス)

これを観るまでは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』がダントツで1位だったのですが、観た後にはこれは1位にしないといけないなと思ってしまった程の傑作でした。
Twitterで私のフォロワーさんのツイートが実に的を得ていて引用させて戴きますが、この映画は謂わば「戦争のレシピ」。しかも厄介なことに、このレシピはどんな食材だろうが、極上の料理に仕上げてしまう万能性を持っている。
そのレシピの内容は至極単純、“他者への無理解・行き違い”です。そして一度、戦争が始まると連鎖的に怒りと憎しみが広がってしまう恐ろしさも描いている。
今年11月に残念ながらお亡くなりになった菅原文太さんは、生前にスピーチで「アメリカにも、良心厚い人々はいます。中国にもいる。韓国にもいる。その良心ある人々は、国が違えど同じ人間だ。みな、手を結び合おうよ」と、お話になっていました。
全ての争いは相手への無理解から始まる、ということを忘れずにいたいものです。すごく難しいことですけど。
私の批評はコチラから。


以下は惜しみつつも選外とした作品です。今年の更新はこれが最後。それでは良い年をお迎えくださいね!

11位. 8月の家族たち(ジョン・ウェルズ)

一家の崩壊を描くトラジェディック・コメディ(悲喜劇)。どんな家族にも恐らくはあるであろう澱、それが家族をどんどん壊していく様が描かれます。余りの悲惨さに笑えると同時に、わが身も振り返ってしまうという面白恐ろしい作品。


12位. 西遊記 はじまりのはじまり(チャウ・シンチー)

チャウ・シンチーによる弩級エンターテイメント。とにかくサービス精神旺盛で、観客を如何に笑わせるか、ドキドキさせるか、怖がらせるかを突き詰めた傑作。これを観た子どもは映画の面白さの原体験としてずっと残る作品になるのではあるまいか。


13位. 抱きしめたい ―真実の物語―(塩田明彦)

本年のダークホースNo.2。あの駄作『どろろ』を撮ってしまった塩田明彦の汚名返上の一作。連続する長回しは、本当のカップルの私生活を本当にドキュメンタリーとして映したかの様なリアルさがあります。北川景子の熱演っぷりが凄まじい。


14位. 太秦ライムライト(落合賢)

京都の時代劇の映画撮影所を舞台に、消え行く時代劇の黄昏と未来への希望を描く。主演は「5万回斬られた男」の異名をもつ斬られ役俳優、福本清三さん。その殺陣(切られる演技を含む)の美しさ、格好よさにしびれる。同時に、近年ちゃんとした時代劇が殆ど大規模に公開されていない現状に戦慄します。来年はもっと時代劇にも足を運ぼうっと。


posted by 民朗 at 08:51| ランキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。