2014年09月02日

大してヒーローに詳しくない人間による『僕のヒーローアカデミア』紹介

今日は少し映画から離れて漫画について紹介したいと思います。紹介する漫画はコチラ、
週刊少年ジャンプで連載中の『僕のヒーローアカデミア』(作:堀越耕平)という作品です。
僕のヒーローアカデミア_壁紙.jpg

(あらすじ)
誰もが何かしらの超常能力・"個性"を持つようになった世界!
"個性"を悪用する者を、圧倒的な力で取り締まる「ヒーロー」は皆の憧れの存在となっていた!主人公・緑谷出久もまた「ヒーロー」になることを夢見る少年だったのだが...!?

この漫画、面白いんですよ。私は週刊少年ジャンプに関しては立ち読み派だったんですが、本作の連載が始まってからは毎号買っちゃってます。
ストーリーは割とありがちな「学園もの」プラス「能力バトルもの」。初期の『NARUTO』に近いですね。『NARUTO』は忍者、『僕のヒーローアカデミア』はヒーローと考えれば分かり易いかと。
舞台は近未来、世界人口の約8割が何らかの個性(特殊能力)を発現し、ある者は個性を活かし政府から認可を受けヒーローとして活躍している世界。主人公・緑谷出久(みどりやいずく)は今時珍しく何の個性も持っていない中学生。ある事件をきっかけに個性を得た主人公はヒーローになるべく、ヒーロー養成学校“雄英高校”に入学する。これがストーリーの概要。

さて、ヒーローと言えば古今東西時代を問わず男の子の憧れであり目標です。ともすればヒーローを題材にした作品は山ほどあるわけで、その制作の過程で何か新しい要素を取り入れようとヒーローの脱構築を図る作品も生まれます。

例えば、永井豪の傑作ダークヒーロー漫画『デビルマン』はその最たる物と言えるでしょうし、アラン・ムーアの『ウォッチメン』はアメコミの代表的な脱構築作品として最も評価もされ成功した例でしょう。


デビルマン.jpg
心は人間でありながら悪魔の姿を持ったデビルマン
そのストーリーは少年漫画の枠を超えた正義と悪の境界線に突き進む


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『ウォッチメン』は子ども向けが殆どだったアメコミ界に風穴を空けた
そのストーリーは政治・宗教・哲学・歴史を多分に含み、迚も子ども向けとは言えない



それらの作品に比べると『僕のヒーローアカデミア』はとても読みやすいし、何よりターゲットは子どもに作られている。設定などに特に傑出したものがある訳ではないです。でもすっごく面白いんですよ。はっきり言っちゃうと王道の面白さがある。


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ヒーローが政府に認可を受けて活動しているという世界観は『ウォッチメン』や『Mr.インクレディブル』に通じるが、そういった作品のような真新しさは別にない
画像はウォッチメンの前身であり、政府に活動を認められていたミニッツメン



断言しちゃいますが、『僕のヒーローアカデミア』の魅力は王道です。それにちょっとばかしの独自性。
主人公の緑谷出久くんは所謂ナードです。ヒーローオタクで無能力者という理由だけでイジメられている。でも誰かを助けたいという気持ちだけは誰よりも強い。そんなオタクだけども真っ直ぐな主人公って、つい応援したくなるじゃないですか!自分がオタクなら尚更です。
また主人公の魅力の一つが努力を厭わないこと。緑谷出久くんは夢を叶えるために、様々なヒーローを日頃から分析(単にオタクとして好きというのもあるだろうけど)し、ヒーローになるための素地を作る肉体トレーニングもキチンとこなす。またこの肉体トレーニング(10ケ月間)が“頑張れば誰にでも出来るかも知れないけど、普通の人の根性ではとてもムリ”といったバランスになっているのも、主人公が単に努力の超人といった様な性格になることを上手く避けている。やっぱり余りに秀ですぎている主人公は応援し辛いですからね!

他の魅力としては絶妙なリアリズムが感じられること。
この漫画は割とリアリズムに則っていて、「無能力者でヒーローになるのは現実的でない」「他人の役に立ちたいのなら警察官の様な公職の道もある」「ヒーローの見込みがなければすっぱり道を退いた方がいい」といった、ヒーロー漫画としては可也シビアにも取れるセリフが出てきたりします。
これが単に“誰でもヒーローになれる!”と言うような甘い世界観になることを防いでいて、このあたりのバランスは子どもよりも大人が読んだ方が楽しめるポイントであると思います。

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主人公の憧れのヒーローが、主人公を諭す
少年漫画にしては割とシビアな現実を描いている



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『ダイの大冒険』のアバン先生屈指の名言
「正義なき力が無力であるのと同時に、力なき正義もまた無力なのですよ」
という言葉はある種の真理なのだ



さて、オタクが主人公のヒーローといえば皆さんは何を思い出すでしょうか?
恐らく、多くの方が『スパイダーマン』『キック・アス』を頭に思い浮かべるかと思います。
『キック・アス』は明らかにスパイダーマンから影響を受けている作品の一つでしょうから、オタクが主人公の代表作と言えば、矢張りスタン・リーの『スパイダーマン』でしょう。

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みんな大好き“親愛なる隣人”、スパイダーマン

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オタクのカメラ小僧、ピーター・パーカーが主人公のアメコミ『スパイダーマン』
画像は新装された『アルティメット・スパイダーマン』 日本語でも気軽に読めます

スパイダーマン―アルティメット(1) アメコミ新潮 -
スパイダーマン―アルティメット(1) アメコミ新潮 -

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映画も毎回大ヒット 
個人的にはリブートした『アメスパ』はピーターがイケメン過ぎて乗れなかったりする



『スパイダーマン』は連載も長く色々なテーマが混在している作品ですが、根底に流れるテーマは“責任”でしょう。自分が強大な力を持っているにも関わらず、その力を正しく使わなかった為に、親代わりのベンおじさんを結果として死なせてしまうスパイダーマン。
「大いなる力には大いなる責任が宿る (With great power comes great responsibility)」、これがスパイダーマンの根幹を成すフレーズです。


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スパイダーマンは親代わりのベンおじさんを失うことでヒーローとして目覚める


さて、この『僕のヒーローアカデミア』は多分ですが『スパイダーマン』と同じく“責任”が一つの大きなテーマになると何となく思うのです。なぜなら主人公のライバル的存在がいるからです。

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ライバル的ポジションの爆豪勝己くん

中学生時代に主人公をイジメていた少年、爆豪勝己(ばくごうかつき)くんは“爆発を起こせる”という、『HUNTER×HUNTER』のゲンスルーや、『ジョジョの奇妙な冒険』の吉良吉影のような凶悪な性能の個性をもっている少年なのですが、彼がヒーローになりたい理由は、「高額納税者ランキングに入りたい」、つまり「金儲けしたい」という理由なのです。

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強い能力を持ちながらも、私利私欲のことしか考えていない爆豪少年


それに対し、主人公の憧れであり、師匠的ポジションになっていく、完全無欠のヒーロー(即ち本作品の理想を体現する存在)のオールマイトは、「ヒーローの本分は、あくまで奉仕活動。そこがブレちゃいけない」と釘を刺し、それ以外でもヒーローの大前提は「メリットが一切なくとも圧倒的脅威に立ち向かう“自己犠牲の精神”」と強調される。

間違いなく爆豪勝己くんは本作品における最重要キャラクターであると思います。彼が今後成長するか、悪堕ちするかはわかりませんが(今週ではヒーローがヴィランに堕落する可能性も示唆された)、その天から与えられた強力な個性をどう使っていくかが作品の分岐点になっていくのではないかなぁと思います。“大いなる力には大いなる責任が宿る”のですから。うーん、何度聞いても名言だ。
ジャンプに限らず、少年向け漫画において「能力バトルもの」というのは最も人気のあるジャンルだと思うのですが、その登場人物たちが自身の特殊能力の強力さにどう責任を取っていくのか迄を描いた作品って正直少ないと思うのです。この作品がどういう路線で進むのかは作者のみが知るところですが、是非とも“責任”のあり方を一つのテーマとして描いてほしいものです。

ちなみに最近まで同じく週刊少年ジャンプで連載されていた『アイアンナイト』(作:屋宜知宏)もなかなか読み応えのあるヒーロー漫画だったし、最近のジャンプはヒーローものがトレンドな気がしますね。残念ながら同作は打ち切り(全3巻)となってしまいましたが……。
アイアンナイト 1 (ジャンプコミックス) -
アイアンナイト 1 (ジャンプコミックス) -

『僕のヒーローアカデミア』も今週(9/1)の時点でまだ8話。連載作品の回転が非常に早いジャンプでは、当然、打ち切りの可能性も十分にあります。
しかし王道のヒーローものでありながら、十分に個性も感じられる『僕のヒーローアカデミア』、自信を持って現在お勧めできる作品です!

第一話はコチラで無料で読めますよ。
posted by 民朗 at 05:12| 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする